2019/07/17
7月も後半に入りました。
梅雨寒の日もありましたが、湿度が高いので除湿のためにエアコンを使用することが多くなりました。
この時期、職場などでエアコンが効きすぎて冷えてしまう、というお話をよく聞きます。
冷えは万病のもと、とよく言いますが、
“冷え”は頭痛、肩こり、便秘、不眠、だるさ、など様々な不定愁訴の原因になりますし、自然治癒力、免疫力を低下させるので、ありとあらゆる病気に関係します。
体温が一度下がると免疫が約30%低下すると言われています。
体温が低いと免疫細胞が体の隅々までたどり着かないし、活発に働いてくれないのです。
そもそも“冷え”とは何でしょう?
冷えと言っても、原因によっていくつかのタイプがあります。
① 全身が冷えている
身体全体の代謝が低下して、身体を温める力が不足しているタイプです。
食べ物から栄養素を取り込み、その栄養素をエネルギーに変えることを代謝と呼びます。
その時、熱エネルギー(体熱)も産生されます。
体の基礎代謝の約40%を筋肉が占めているので、筋肉量が低下すると体熱を作り出す力が弱ってしまいます。
高齢者や筋肉量が少ない女性などに冷えが多い理由が分かります。
② 血流が悪い
血液には体の細胞に必要な栄養素や酸素を運び、老廃物を処理器官に運ぶ役割がありますが、産生された体熱を全身に運び体を温める働きもあります。
そのため、血液のめぐりが悪かったり、血液の量が不足すると冷えが生じます。
自律神経は血管を広げたり縮めたりして血流のコントロールをして体温を調節する働きがあるため、自律神経のバランスが乱れると血流が悪くなり冷えます。
また、熱は上部に向かいやすいので、顔の方は火照るのに下半身は冷えるということも起こります。
自律神経はホルモンバランスとも関係が深いので、女性はこの点でも冷えになりやすいようです。
③むくみによる冷え
身体の水分代謝が悪いと冷えの原因になります。
身体に水が溜まっていれば温めるのが大変で冷えてしまいます。
むくみの原因はいろいろありますが、胃腸が弱ったときも消化吸収の働きが悪くなり、身体に余分な水分がたまります。
また、冷えによって水分の代謝が更に悪くなりますから、このタイプは冷えが悪化しやすいです。
“冷え”とアトピー性皮膚炎
冷えは万病のもと。
アトピー性皮膚炎にも冷えが関わっていますが、意外に知られていない気がします。
かゆみが強い時はクーリングしてね、と言われることはあっても、体の中から温めましょう、と言われることは少ないのではないでしょうか?
でも、アトピー性皮膚炎の患者さんによくお話を聞くと、体の表面は火照っていても、お腹など身体の中は冷えを感じている方が多いです。
冷えと皮膚炎の関係ですが、
身体の中が冷えていると頑張って温めようとしますが、産生された体熱は熱の性質上、体の上の方や体表面(皮膚)の方に向かいやすくなります。
身体の冷えがひどいとかえって体の表面に熱症状がみられるという感じです。
また、体内が冷えると血流が悪くなり、代謝も落ちて、血液や水分は老廃物が溜まり汚れてしまいます。
その汚れた血液や水分も熱の影響で上部や体表面(皮膚)に向かうことでさらに皮膚に炎症が起きやすくなりのだと思います。
そのほか、体の中の冷えがあると内臓に熱を集中させようとして、末梢や体の表面に血流が足りなくなり、末梢や皮膚の表面が炎症反応を起こすことで熱を出そうとする、という考え方もあるようです。
ただ、アトピーの治療では、身体に冷えがあっても、炎症がひどく体表の皮膚に熱がある場合は、まずそれを落ち着かせる必要があります。
そして体表の熱がおさまってきたら、次は身体の中を温めることが必要になってきます。
皮膚は内臓の鏡。
皮膚がきれいになる事はもちろん大切ですが、本当に健康な皮膚と体になるためには、体内の解毒作用と老廃物の排泄がきちんとできるようになることが重要です。
冷えによる体内の老廃物の蓄積、水分代謝の悪化を起こさないように、注意が必要ですね。
快食、快眠、快便、そして快温も健康の基本です。